【書評】『生命誌 年刊号 vol.69-72 遊ぶ』中村桂子編
■誰もがキラキラ光る言葉に出合う 生命の大切さは皆知っている。だが正面から「生きものって何? 生きているってどういうこと?」と尋ねられると、とたんに返事につまってしまう。生物学の専門書をひもといてみても、難しい用語が並んでいて混乱するばかり。だが近年の驚異的な生物学の進歩を眺めれば、専門家だけには任せておけない。ノーベル賞をとったiPS細胞の研究が進めば、やがて孫悟空のような分身の術も可能になるかもしれない。夢がふくらむ一方で、人間の生死を利益と効率第一の技術に託せてよいのか、恐ろしい未来はこないのかと、はげしい胸騒ぎもしてくる。 そんな疑問を、中村桂子が館長をつとめる生命誌研究館はまっすぐ受けとめ、1990年代から魅力的な活動を続けてきた。分子生物学の先端知識をふまえながらも、生命誌研究者たちは生物の機械論的な分析からしなやかに離陸し、「生きる」という神秘に温かく寄りそっていく。 何という不思議だろう。生命誌の眼鏡をかけると、人間をふくめた生物の世界はいわば、刻々と移りゆく即興の多声交響曲。それは断じて、ルール通り厳格に巡る冷たい時計仕掛け音楽ではない。< 前のページ123次のページ >
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